新和防災の消防設備コラム消防用設備点検


【入門】はじめての消防用設備点検(2)-消防用設備点検とは?
2021年3月13日
本記事はこんな方におすすめです
- 管理会社、消防設備会社で働くことになり資格試験合格を厳命された
- 会社の異動で建物管理業務を担当することになった
- 不動産を購入して念願のビルオーナーになった
- マンション管理組合の理事になったけど理事会の話がさっぱり理解できません
- 消防用設備点検ってなんですか?
前回のコラムでは、消防用設備点検を理解するための基礎となる「消防法の目的や消防用設備の種類」を確認しました。
第2回目の今回は、消防用設備の設置義務がある建物、設置できる消防用設備、消防用設備点検の実施時期と罰則を確認していきましょう。
消防用設備点検・報告とは?
消防法は「人の命や財産を火災から守り、万が一際の被害を最小限に抑える」ことを目的とした法律であることを前回確認しました。
マンションや商業施設、オフィスビル、官公庁、工場など、多くの人が集まっている建物で火災などの災害が発生した場合、消火設備や警報設備が正しく動作しなければ人命にかかわる甚大な被害に繋がってしまいます。
そのため、いざという時に消火設備や警報設備が正しく動作するよう、消防用設備は定期的な点検と管轄消防署への報告が法律で義務付けられています。
この点検・報告制度のことを「消防用設備点検・報告制度」と呼びます。
消防用設備を設置する義務がある建物は?
消防用設備を設置する義務があるのは「防火対象物」
【Q】 すべての建物で消防用設備点検・報告が必要?
【A】 もちろん、そんなことはありません。
では、具体的にどのような建物に消防用設備を設置しなければいけないのか、消防法第17条を確認してみましょう。
消防法第17条
学校、病院、工場、事業場、興行場、百貨店、旅館、飲食店、地下街、複合用途防火対象物その他の防火対象物で政令で定めるものの関係者は、政令で定める消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設(以下「消防用設備など」という。)について消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、政令で定める技術上の基準に従つて、設置し、及び維持しなければならない。
多めの漢字と難解な表現にグッときますね。
基本的には「不特定多数の人が利用する建造物」と覚えておくと良いでしょう。
防火対象物の建物は、その用途や建造物規模などに応じて細かく定められており、時代に合わせて適宜更新もされています。詳しくは、以下の消防法施行令別表第一で対象となる建物を確認してください。
【参考】消防法施行令別表第一
防火対象物に設置できる消防用設備とは?
安価な消火器はNG?
では、防火対象物に設置する消防用設備は、消火機能があればどんなものでもOKなのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。
消防用設備毎に「総務大臣から型式承認を受けた検定対象機械器具と形状等が同一」である必要(型式適合検定検査で合格)がありますのでご注意ください。
ちなみに、新和防災では建物に設置する消防用設備(消防・防災物品)のご注文も承っております。
うちの建物に設置しなければいけない消防用設備がわからない、といった場合は現地調査含めてご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。
消防用設備点検の実施時期と実施内容
点検は6ヶ月~1年に1回以上、報告は年1回または3年に1回
火災などの災害が発生したときに消火設備や警報設備が正しく動作しなければ人命にかかわるため、消防用設備の定期点検・報告が非常に重要だということを確認してきました。
では次に、消防用設備の定期点検・報告はどれくらいの頻度で行う必要があるのかを確認してみましょう
区分 | 機器点検 | 総合点検 | 報告書提出 |
---|---|---|---|
点検・報告時期 | 6ヶ月に 1回以上 |
1年に 1回以上 |
年1回または 3年に1回 |
実施内容 | 目視点検で各消防用設備の損傷や劣化の有無、および適正な配置や設置状況を確認します。 | 各消防用設備を実際に作動または使用して、消防用設備が正常に動作するか機能全般を点検します。 | 所定様式「消防用設備等(特殊消防用設備等)点検結果報告書」を作成し、1年に1回、または3年に1回、所轄の消防署へ届け出をします。 |
上記のとおり、消防用設備点検は6ヶ月に1回以上の「機器点検」、1年に1回以上の「総合点検」、年1回または3年に1回の「報告書提出」が法律で義務付けられています。
随分頻繁に点検しないといけないんだな、と思われた方もいるかもしれませんが、ことは人命に関わることなので「6ヶ月・1年・3年」としっかり押さえておきましょう。
新和防災の消防用設備点検も併せてご確認ください。
消防用設備点検・報告に関する罰則
点検報告・維持管理違反は30万円以下の罰金
人命にかかわる消防用設備は定期的な点検・報告だけでなく、適切な維持管理、行政による設置命令等が法律で義務付けられており、違反した場合は非常に重い罰則が科せられます。
定期点検を依頼する消防用設備会社を決めておけば、消防用設備点検時期が近付くと消防用設備会社のほうから連絡をもらえるのでうっかり忘れも防止できておすすめです。
違反内容 | 点検報告 義務違反 |
維持管理 義務違反 |
消防設備等の設置命令違反 |
---|---|---|---|
罰則 | 30万円以下の罰金または拘留 | 30万円以下の罰金または拘留 | 1年以下の懲役または 100万円以下の罰金 |
詳細 | 消防設備点検結果を報告せず、または虚偽の報告した者は30万円以下の罰金または拘留に処せられます。(消防法第44条) | 消防設備の適正な維持の為に必要な措置をしなかった者は30万円以下の罰金または拘留に処せられます。(消防法第44条) | 消防設備設置命令に違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。(消防法第41条) |
まとめ
いかがでしたか?
今回は、消防用設備の設置義務がある建物、設置できる消防用設備、消防用設備点検の実施時期と罰則を確認しました。
一口に消防用設備点検と言っても、設備の種類や対象建物、点検実施時期、関係する法令など、理解しなければならないことが多岐にわたるため、完全に理解することはなかなか難しいかと思います。
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