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【入門】はじめての消防用設備点検(4)-消防用設備点検は自分でやっても大丈夫?その1

2023年5月18日

本記事はこんな方におすすめです

  • 管理会社、消防設備会社で働くことになり資格試験合格を厳命された。
  • 会社の部門異動により建物管理業務を担当することになった。
  • 不動産を購入して初めてビルオーナーになった。
  • マンション管理組合の理事に就任したけど話がさっぱり理解できない。
  • そもそも消防用設備点検ってなんですか?

これまでのコラムでは消防用設備の定義や種類、消防用設備の設置義務がある建物や消防用設備点検の実施時期・内容などを確認してきました。

シリーズ4回目の今回は「消防用設備点検は自分でやっても大丈夫?その1」です。

これまで確認してきた通り、消防用設備は万が一の火災に備えて定期的な点検と消防署への報告(消防用設備点検は6ヶ月に1回以上の「機器点検」、1年に1回以上の「総合点検」、年1回または3年に1回の「報告書提出」)が法律で義務付けられています。

消防用設備点検・報告は、当社のような専門会社にご依頼いただくことが一般的ですが、防火対象物の規模や用途によっては、資格を持たない方が自分で点検・報告することも認められています。

ということで第4回目の今回は、自分でできる消防用設備点検について詳しく確認していきたいと思います。
では、早速いきましょう。

本コラムは自分点検を推奨しているわけではありません。
東京消防庁では点検時の安全面などを考慮し有資格者による点検を推奨しています。

自分で点検しても良い「建物(防火対象物)」

自分で点検しても良い「建物(防火対象物)」

消防用設備点検・報告は、当社のような専門会社にご依頼いただくことが一般的ですが、以下のいずれにも該当しない建物(防火対象物)の場合は、自分でも点検・報告することができます。もちろん専門の資格は不要です。

  1. 特定防火対象物で延べ床面積が1,000m²以上の建物
  2. 非特定防火対象物で延べ面積が1,000m²以上のもののうち、消防長または消防署長が火災予防上必要があると認めるもの
  3. 地下または3階以上の階に特定用途(物品販売店舗、ホテル、病院、飲食店など不特定多数の人が出入りする事業所等)があり、かつ、屋内階段が1か所のみの建物
  4. 全域放出方式の不活性ガス消火設備(二酸化炭素を放射するものに限る)が設置されている建物

自分で消防用設備点検・報告できる防火対象物(建物)の例

・ 2階建てのアパート(延べ床面積1,000m²未満)
・ 2階建ての商業テナントビル(延べ床面積1,000m²未満)

自分で点検しても良い「消防用設備」

自分で点検しても良い「消防用設備」

自分で点検・報告できる消防用設備は以下4点です。

ただし、製造から時間が経過している消火器や、専門的な知識・技術が必要な特定小規模施設用自動火災報知設備など自分点検の対象外となる消防用設備もありますので、自分点検に不安がある場合は必ず専門会社に依頼するようにしてください。

  1. 消火器
  2. 誘導標識
  3. 非常警報器具
  4. 特定小規模施設用自動火災報知設備

消火器

消火器には、圧力を示す計器がある蓄圧式消火器と圧力を示す計器がない加圧式消火器の2種類があります。

消火器のメーカーや型式によって、安全栓や本体の表示などが異なります。消防庁が配布しているパンフレットおよび設置されている消火器の説明書等を参照しながら点検してください。

なお、自分で点検できる蓄圧式消火器は製造年から5年以上、加圧式消火器は製造年から3年以上経過していないものに限ります。製造年を経過した消火器点検は必ず専門会社に依頼するようにしてください。

消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために(消防庁パンフレット)

誘導標識

万が一の火災の際に避難口や避難すべき方向に適切に誘導するのが誘導標識です。自分点検できる誘導標識は、配線等の点検が不要のもの(蓄光式のもの及び電気エネルギーにより光を発するものを除く)に限ります。

消防庁が配布しているパンフレットおよび設置されている誘導標識の説明書等を参照しながら点検してください。配線等の点検が必要な場合は、必ず専門会社に依頼するようにしてください。

消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために(消防庁パンフレット)

非常警報器具

警鐘、携帯用拡声器、手動サイレン等、建物内の人々に火災が発生した旨等を伝達する設備が非常警報器具です。

消防庁が配布しているパンフレットおよび設置されている非常警報器具の説明書等を参照しながら点検してください。

消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために(消防庁パンフレット)

特定小規模施設用自動火災報知設備

特定小規模施設用自動火災報知設備は、火災を感知して建物の中にいる人に火災が発生したことを知らせる設備です。自分点検できる特定小規模施設用自動火災報知設備は、受信機又は中継器が設置されておらず、かつ、自動試験機能を有するものに限ります。

消防庁が配布しているパンフレットおよび設置されている特定小規模施設用自動火災報知設備の説明書等を参照しながら点検してください。

消防用設備等点検報告を自ら行っていただくために(消防庁パンフレット)

自分で点検しても良い「人」

消防用設備を自分で点検・報告できるのは、その建物(防火対象物)の関係者(主に管理者、所有者、占有者)のみです。関係者でない従業員や家族では点検することができませんのでご注意ください。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、消防用設備等点検を自分でやる場合の「建物」「設備」「人」について詳しく確認しました。

万が一の火災から私たちの命や建物財産を守ってくれる消防用設備の定期点検・報告は大変重要です。

自分点検に少しでも不安や不明点がある場合や、設置されている設備が自分点検できる設備なのかわからないといった場合は、無理に自分点検を実施せず必ず専門会社に依頼するようにしてください。

本コラムは自分点検を推奨しているわけではありません。
東京消防庁では点検時の安全面などを考慮し有資格者による点検を推奨しています。

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